今となっては、過去となりましたが、そのような中、当院での発熱患者の診療体験を通して、今後の超高齢化多死社会を迎えるにあたっての、課題を具体的に感じることになりました。 これまでの経緯の復習から始めたいと思います。 新型コロナ感染症は、2020年3月4月から、第1波、そして、第2波、第3波、第4波と続きました。そして、昨年末から本年にかけての第8波、今夏の第9波と続きました。 一昨年末にかけての、第5波がデルタ株でした。その後がおミクロン株となり、感染者数はどんどん増えてゆきましたが、重傷者数は減ってゆきました。 新型コロナウイルス感染症に対する診療の定見もモデルもなく、混沌とした「カオス」の状況でしたが、PCR検査が定着し、その後、ワクチンもでき、コロナ感染症の内服薬、も出てきました。コロナ感染症となって、内服薬をお飲みになった方もおられると思います。そして、3月13日からマスクは個人の判断稲荷、5月GWには2分類から、インフルエンザ等と同じ、5分類になってきます。 そして、現在(2023.11.1)文字通りの、アフターコロナを迎えています。 そのような中、不意に襲ってきたパンデミックによって、日本中が戦々恐々としていた、発生直後のその頃に話を戻します。 2020年2月初旬に、新型コロナウイルスに感染した人が、横浜から香港にかけて本クルーズ、ダイヤモンドプリンセス号に乗船していたことが発覚。横浜港で長期検疫体制に入り、その後も感染していた人数が増え続ける事態となり。この事象は、その後数年間続く世界的なパンデミックの始まりとなりました 2020年3月末、その時点での、福岡県新型コロナ患者を受け入れる病床は、12の指定医療機関における60床の感染症病棟のみでした。そして、4月7日、福岡県含む7都道府県緊急事態宣言が出されました。そこに、PCR検査で陽性反応が出た人を全員入院させたため、4月上旬には病床があっという間に足りなくなりました。 院内感染を恐れ、一般の救急患者のたらい回しも起こり、当時の横倉日本医師会長が、「福岡が危ない」と警告する事態となりました。 当日、当院での発熱外来も、まさにそのような事態の直撃となりました。 病(病院)と診(診療所クリニック)が連携することを、病診連携と言いますが。 病診連携とは、患者さんが適切な治療をスムーズに受けられることを目的に作られたシステムです。 基幹病院と診療所間のネットワークを密にすることで、待ち時間の短縮や疾患に合わせた適切で質の高い医療が受けられるようになります。コロナ感染症により、この連携が崩れてしまいました。 その後も、それまで当然としていた、体制そのものが無力になる、そのようなことの連続でした。 新型コロナ感染症は、3年余りの経過でした。そこで体験したような事態が、超高齢化多死社会の本格的な到来とともに、これからの、10年単位、20年単位の時間の中で起こってくる、それを実感いたしました。 そして、さらに実感したことは、クリニックというプライマリケア診療現場においては、それは「複雑困難事例(未分化で多様かつ複雑な健康問題)」という形で、すでに発生し始めているということでした。 ※プライマリケア(かかりつけ医)医療、複雑困難事例についきましては、ホームページ他項をご覧いただければ幸いです。 2023.11.14
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