● 複雑困難事例  

 1995年クリニック開業当初、70歳代でお元気に通院される方々を拝見して、「お元気だな〜」と感服しておりました。それが、「80歳なんだ、でもお元気だな〜」になりました。でも今は、90歳で介護もお受けにならず、お元気に通院される方も珍しくありません。
 地域包括ケアシステムは、迫り来る超高齢化多死社会を迎えるにあたって、2025年をめどに構築された、多職種連携システムです。「住み馴れた地域で最後まで自分らしく」を合言葉に構築された素晴らしいシステムです。近隣に身寄りのない方方をお守りする、多職種の方々は、まさに、家族以上の存在です。
 その介護システムの中で、要支援という階層は、介護予防を念頭に構築された水際のシステムであると思います。しかし、上記述べさせていただいたように、水際は、支援もいらない、介護無用のお元気な方々に移ってきているそのような実感です。
 そして、プライマリケア診療の現場で扱われる、「複雑困難事例(未分化で多様かつ複雑な健康問題)」は、地域包括ケアシステムがカバーする領域を含み、それを超えてカバーする概念であります。同時に、それは、要支援の方々の外側に広がる、介護予備軍であり、介護予防のカギを握っている層であると感じております。

 超高齢化社会の到来により、慢性疾患をお持ちの方が増加します。急性、亜急性に疾患には終わりがあります。しかし、慢性疾患のゴールはどこかとなると、明確な規定は困難になります。同時に、高齢化すると、慢性疾患は実質終わりのない疾患ということになります。終わりは、より大きな問題、たとえば、緩和ケア等のより大きな問題に吸収されるときになります。
 そして、お一人の方が抱える慢性疾患は増加します。さらに、高齢化に伴う、様々な身体的、心理社会的、そして、霊的な問題も加わってきます。

 そのような背景の中で、問題が複雑であることのサインとして、以下のような観点が挙げられています。 (※日本プライマリケア学会基礎研修ハンドブックp43)

 ・多くの医師にかかっており診断名が多い ・診断的検査を多く受けている
 ・ポリファーマシー状態である
 ・予約外の外来受診や救急受診が多い
 ・頻回、または長期の入院歴がある
 ・多くの支援(医療機関、公衆衛生サービス、社会資源など)を受けている
 ・医師-患者関係の構築が困難である
 ・医師-患者間で病気の重症度や自体の深刻度に関する認識が大きく異なる
 上記の高齢化に伴う慢性疾患増加問題の中で、特に当院で感じるのは、
 ・多くの医師にかかっており診断名が多い(マルチモビディティ)
 ・ポリファーマシー状態である
 の項目であります。

 従いまして、当院の介護予防のフロントは、要支援の外側の、マルチモビディティ、ポリファーマシーを中核とする複雑困難例であるという認識で、日々診療に向かっています。
   2023.11.14


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