<ワンポイントメモ> 「風邪であれば、1週間で治る。」
内科の教科書で有名なものに、「ハリソン内科学」と言うのがあります。アメリカの先生達が書いた本です。ですからグローバルスタンダード(世界標準)とも言える内容です。とても分厚い本で、その中には膨大な病気の数々が、細胞分子のレベルから実際の症状治療に至るまで、実に理路整然と記載されています。(読んだのは、日本語版です。) 一般向けの家庭の医学書のたぐいは、そのような専門の医学書をベースに書かれますから、記載の内容が簡単になっているだけで、構成は一緒です。 そのような知識は経験がないと、読んでみても、後一つ”分かったような、わからなかったような!?”感じになります。
もう一つ、「今日の外来診療(第一版)」(医学書院)という診療の現場の先生達が書いた本があります。現在は絶版(第二版は内容が異なります)ですが、とてもユニークな内容で、ファンの先生も多かったのではないのでしょうか。その中に、病状のパターン(「外来患者の5つの群」)と言う項目があります。「時間経過」と「重症度」という二つのシンプルな規準で、膨大な病気群をいくつかのグループにまとめあげています。更にそれぞれの疾患群のパターンが、いわば病状曲線ともいうべき曲線パターンで示されています。
風邪という病気を、この病状のパターンで考えると分かりやすくなります。
このパターンの中の第2群に、「風邪等日常ありふれた軽症、一過性の急性疾患群」というのがあります。症状は「軽症」ですみ、時間経過は「普通は2~3日、悪くても数日」で治る、というパターンです。 風邪であれば、クリニックに自力で通院できるような方の場合、殆どの方が(市販薬含めた)普通の治療で、症状は「軽症」ですみ、時間経過は「普通は2~3日、悪くても数日」で治る、という意味です。急性の膀胱炎や蕁麻疹、腹痛(急性の胃腸炎)も、この分類に入ります。 逆も真なりで、「自分では風邪と思っていても、1週間以上続いたら風邪以外の病気かも。」という事になります。
無理な生活スタイルを続けていたり、または、知らないうちに新しく風邪を引き直せば、風邪でも一週間以上なおらない事はあります。 でも、一週間以上続く場合は、症状が風邪のように思えても、風邪以外の病気の可能性も出てきますので要注意、ということになります。 そのような場合かかりつけの先生に、ご相談をお勧めします。09.03.16.
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