当院ではお薬をお出しするときに、お薬の効果を最大限に引き出すために、 医療者(私&クリニックスタッフ)と患者さんの信頼関係、 患者さんが納得してお薬をお飲みいただけるように、 そして、患者さんが感謝の気持ちでお薬をお飲みいただけるように、 ということを大切にしています。
「偽薬効果(プラシーボ)」と言う事ご存知でしょうか。 ご本人には全く分からないようにして、本当はお薬ではないけれどもお薬と同じ呑み具合のものを、「お薬です。」としてお渡しして、お呑みいただきます。 そして、それが場合によっては、本物のお薬と同様に効果が出る事があります。 「偽物のお薬(偽薬)」の、「本物のお薬のような効果」ということで、「偽薬効果(プラシーボ)」と言います。 「(本当の)お薬」であるという、「思い込み」が実際の効果を出すのです。
私の父は先の大戦初期に足を負傷し大腿部から切断しました。 戦争当時の手術なので、医薬品も十分でなく術後激しい痛みと戦った事を話してました。 「タオルを引きちぎるほど痛かった。」といっていました。 「そういうときは、最後にモルヒネを注射してもらっていた。そしてそれが、どんな激痛でもとてもよく効いた。」といっていました。 そのお話の後日談です。 「退院するとき、看護師さんからこんなこと聞かされた。『皆は(父が)中毒になるのを恐れて、ほとんどはモルヒネではなくて、生理食塩水を注射していたんですよ。』と。でも、ほんとに良く効いた。不思議なものだ。」と。
ですから「本物のお薬」の場合も同様と想います。 でも嘘ではありませんから、大切なのは「思い込み」ではなく、「信頼」と「納得」、そして「感謝の気持ち」であると思います。 それが、お薬の効果を最大限に引き出してくれるということになります。09.03.16.
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