● パンデミック(過去の事例)
ースペイン風邪ー
  

<ワンポイントメモ>
 大正8年からのスペイン風邪の大流行(今で言う、新型インフルエンザのパンデミック)を、当時の資料で、その時の様子を見てみたいと思います。

 19世紀後半、コッホによって炭疽菌が発見されました。そして、20世紀にはいり1929年初の抗生物質である、ペニシリンが発明されました。それまでは伝染病は大きな災害のように恐れられていましたが、その発見発明以来の医学の進歩によって、感染症は完全に駆逐されるかと想われる程になりました。
しかし、21世紀を迎え、エイズや新型インフルエンザ等の感染症は新たな猛威を様々にふるいはじめています。


 大正8年からのスペイン風邪の大流行(今で言う、新型インフルエンザのパンデミック)を、当時の内務省衛生局で編集した資料「流行性感冒―『スペイン風邪』大流行の記録ー」を復刻した書籍が、平凡社東洋文庫778として出版されています。その内容の一部を中心に、当時の様子を見てみたいと思います。

 「スペイン風邪」は1918年(大正7年)3月アメリカで発生しました。そして、同年年5月、国内で発生しました。しかし、初期にはほとんど死者が発生しませんでした。同年10月、日本での最初の死者が出たと言われています。
 その後3年間以下のような3回の流行が襲っています。
・ 第一回流行状況1918.8.〜1919.7.患者約2116万人死者25万人致死率1.22%
・ 第二回流行状況1919.10.〜1920.7.患者約241万人死者12万人致死率5.29%
第三回流行状況1920.8.〜1921.7.患者約22万人死者0.36万人致死率1.65%
計)患者約2380万人死者38万人致死率1.63%

 当時の資料の記載に、第一回目の大流行の様子を見てみたいと思います。(資料の文体は読みやすいように書き換えています。また文中のカッコ内は注釈です。)

第一回流行は大正7年(1918年)8月下旬から始まり、9月上旬に勢いを増し、10月上旬病勢は熾烈となり、殆ど全国に蔓延する。11月にその勢いを極め12月下旬には下火となるが、翌大正8年初春極寒の季節に再び流行する。
 大正7年8月の初発以来8年1月15日までの概数は患者約1、923万人、死者約20万人に及び、患者は全人口の三分の一に達し、死者は人口千人に対し3.58の高率に及ぶ。患者100に対する死亡は1.06にて比較的低かったが罹患者が多数だったため死亡者が多く、まれに見る惨害を被った。
 各府県に於ける蔓延の状況をみると、その初発の地は二三の例外を省き多くは交通頻繁なる都市に発し、それより放射状にその周囲を侵襲することを常とした。すなわち、市内においては学童児童の欠席が増加し、又工場職工等の欠勤続出し一両日中に数十数百に上り、(当時の情報系統に於いて)一般の注意を惹く時には既に病毒(ウイルス)全市に蔓延し、数日経たぬうちに全市民の大半を襲うと言う事を繰り返した。流行ピーク時においては学校工場等は一時閉鎖せざるを得ない処も多かった。そのようにして市より更に周囲の部落にまたたくまに蔓延し、そして全県下に伝搬していった。
 流行の推移を見ると、都市部は漸次衰退に傾きつつある時に至っても、付近村落は流行の極を示し、更に山間の僻地に於いては長期間流行が続いた。従って交通機関の発達した地域に於いては流行の期間が短く、交通は不便な地域は流行が長く続く傾向が見られた。
 翌8年2月極寒の折りに再び流行が熾烈になった時、所謂流行性感冒性肺炎(インフルエンザによる肺炎)を起こし死ぬ者も増えた。発生患者数を見ると1月後半から2月前半にかけて増加し、地方によっては医師、看護師の不足、治療材料の欠乏を来たし人心の不安も招いた。そして、3月以降病勢は少しづつ減退し6月下旬から7月に至って終息していった。
 本病の死亡者数は大体に於いて発生患者数と相並行して増減したが、患者に対する死亡比例(致死率)は最初比較的低く、流行の経過とともにその比率が増加して行った。すなわち、大正7年の流行期においては患者百に対し1人強(致死率1強)に過ぎなかったが、翌年1月末より2月初旬に至り、2人弱に上り、2月下旬より3月に於いては更に3から3.7人に、4月には4.96人の高率に達した。5、6、7月は患者数は減って行ったが、尚4.0人以上を示し流行初期に比し約4倍の高率を示した。
 初期において死亡者は虚弱者、老幼者であったが、流行の経過とともに病性悪化し(重毒化し)肺炎を併発する者が増え、虚弱者のみならず強壮者の死亡者も増えた。又その他の合併症を併発して死ぬ者も多く出た。
 今回(第一回)の流行で患者数が最も多かったのは東京府、そして愛知、それに兵庫、埼玉、静岡、鹿児島の諸県が続いた。最も少なかったのは沖縄、高知、石川であった。また、最も多くの死亡者を出したのは、兵庫県、そして東京府であった。それに大阪府、埼玉が続く。最も少なかったのは高知県であった。
 患者に対する死亡比例(致死率)は各府県をとおして大いなる差異を見ず、全国平均1.22%であった。」09.08.28.pm21:00.










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